虎落笛(もがりぶえ)

石井の小部屋ふぁいなるをご覧の皆様こんばんは。

石井です。

小説家 西村寿行氏の作品を紹介していくコーナー。

記念すべき1回目は「虎落笛」をお送りします。



ストーリー

死刑執行の立会検事・郷名は処刑直前、死刑囚・北岡の無実を確信。少ない時間の中で郷名を信頼した北岡は言います「私は、やっていません」
だが時はすでに遅く、幼時、人買いに売られ奴隷生活を送った北岡は「風が――冬の風が・・・」ということばを残し絞首刑に。職を辞し、北岡の過去を求めて探索行に出た郷名は、北岡の就籍地宮崎で、なぜか暴漢に襲われた。北岡の生い立ちに、いったい何が隠されているのか!

まあ、これだけ読むと某サスペンス劇場のように思われる方もいるかもしれませんが、いえいえ、これは寿行先生の作品です。そんなありきたりのお話ではありません。

郷名は妻に裏切られた孤独な元検事。知能が遅れていると疑いがある北岡が目撃した自動車事故が犯行を不可能にしていた事を如実に表していたのですが、すでに北岡が死んでいるため、意地になって「冬の風が・・・」という言葉に残された出生の謎を探す旅に出ます。

旅を続けるうち、何世代にもわたる北岡の血筋が明らかになり、実際に起きたであろう戦後の混乱からくる悲劇なども垣間見ることができます。郷名のもとへ謎の美女である陽子が現われ、罠と知りながら陽子に惹かれる郷名は、陽子の過去と北岡の過去が繋がっている事からさらなる調査を続け、また暴漢たちより執拗に命を狙われます。

北岡・陽子の母は、幼少時に人買いに買われ、オチョロ船といわれる屋形船で売春を行っており、劣悪な環境で精神を病みながらも必死に自身が生んだ子供とは離れないようにしていたのです・・・

亡くなった北岡を想い、陽子に特別な感情を抱いた郷名は、ついにすべての真相を明らかにするのですが・・・

この作品、何を隠そう私が初めて読んだ寿行氏の作品なのです。当時、たまたま氏の作品の代表作「犬笛」を本屋に階に行ったところ、売っていなかったのでこの「虎落笛」を買いました。

虎落笛とは、冬の激しい風が竹垣や柵 (さく) などに 吹きつけて発する笛のような音・・・だそうです。
死刑囚の北岡の記憶にある虎落笛のさびしい音色が郷名を奮い立たせたのですが、全編に漂う、他の作者ではとても真似できない男の孤独感、悲壮感、常に男に翻弄され続けてきた女性・子供たちの情景、さびれた日本海のどんよりとした空など、その表現力はあらためて感心致します。



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プロフィール

HN:
マンシー•カマラ
性別:
非公開
職業:
クレープ屋、ギター製作家、毒ガス管理業、台灣、ロボット職人
自己紹介:
はじめまして。
・石井(クレープ屋)
・栗山(ギター製作家)
・オマタ(毒ガス管理、散布業)
・うどん(ロボット職人)
Kロサワ楽器を自主退社した4人と
・ありこ(台灣)
・師匠(2017年8月20日脱退)
が加わり、日々様々な自己中話を投稿していきます。
動画も多数公開予定ですので乞うご期待!!

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