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ヤン・シュヴァンクマイエル作品

こんにちは。前倒し大好き!平日のうちに不在者投票を済ませてある、土曜のありこです。今日はライブのリハがあるので、日付が変わったと思いきや夜中に更新しちゃうのです。なのに、試験の類は幼い頃からいつも一夜漬け。なぜでしょうか。

本日の内容は【閲覧注意】(←またかよ)グロい物が苦手な人はどうぞ華麗にスルーしてくださいませ。

先月、何年ぶりかにヤン・シュヴァンクマイエル作品を映画館で観て参りました。

ご存知無い方がいらっしゃるかもしれませんので簡単に説明をいたしますと、ヤン・シュヴァンクマイエルはアナログ主義で、CGを使わず粘土や操り人形、生肉、木や鉄などを使い、グロテスクな絵画やオブジェ及びコマ撮りを駆使した映像を作ることで有名なチェコスロバキアの作家です。

コマ撮りということで映画はアニメーションのカテゴリーに入れられるようですが、子供向きではありません。食べ物や虫、人間のバラバラ部品のオンパレード、更に音がやたらとリアルなので、ダメな人は「気色悪い!」とか「怖い!」とか言って完全に受け付けないと思いますのでご注意くださいませ。一方でストップモーション好きな人やシュールレアリズム好きな人にはたまらない映像で、根強いファンが居るアーティストです。
観たことのない方の入門編としては『アリス』という作品がグロ過ぎずソフト(?)で一番入り易く、性的なことに対する皮肉に嫌悪感を催さないのであれば『悦楽共犯者』も良いかもしれません。もっとも、物語性を求める方には、どの作品も好みではないと思いますので観ない方が良さそうです。


今回観て来たのは下記短編6つでした。

1. 棺の家(1966年/10分)
2. ドン・ファン(1972年/33分)
3. 対話の可能性(1982年/12分)
4. 男のゲーム(1988年/15分)
5. 闇・光・闇(1989年/7分)
6. セルフポートレート(1988年/2分)

この日観た6作品も他の作品同様、シュールかつ、作った過程は相当緻密で気の遠くなる作業であったことが想像に難くありません。この中で個人的には『男のゲーム』が好きでした。
粘土で人間そっくりに作られた顔をナイフで切ったりハンマーで殴ったりコルク抜きをねじ込んだり、色んな道具で穴を開けグチャッと潰し、また精巧な作りの眼球や生肉を使った舌がすさまじくグロく、音もリアルで気持ち悪さ倍増。全体主義に対する異議や政治的な含みもあったり、愛だの恋だのを皮肉ってみたり。シュールレアリストの中でもかなりブラックな部類に入るのではないでしょうか。

『対話の可能性』

『男のゲーム』

『闇・光・闇(上部)』

どれを見ても、何度見ても、変態的。なのにこの日も、シネコンとは違った小さな空間とは言え補助席まで使って満員御礼、酸素が薄いです。
ほんとに皆さん物好きなんだから、笑。

上映前後に配給会社の方のトークショーがありました。何年か前のサド侯爵がモチーフの作品『ルナシー』の際、チェコへ赴きシュヴァンクマイエルのアトリエ兼ご自宅にて商談をして来られた方でした。私は該当の作品を渋谷のイメージフォーラムで観て楽しんだ記憶があり、暗い部屋をお馴染みの音と共に舌が這い蹲る独特の場面を今でも鮮明に思い出すことが出来ます。その方によると、シュヴァンクマイエルのご自宅内には牙の長い犬(真偽は分かりませんが、本物の狼らしい!)が居り、目の前で噛まれ外科医が縫いに来るアクシデントが起こったとか、異臭漂う色んな獣の剥製や毛皮の中になんとアルマジロの剥製がある(ワシントン条約に違反!!)とか、随分と突飛なお話でした。


シュヴァンクマイエルには2つ趣味があって、1つ目は神を冒涜すること2つ目は政治家を冒涜することなのだそうで、笑。チェコが共産主義であった時代にコケにされたことで、彼が国賓となった今、折に触れてはそんな政治家に対し仕返しをして楽しんでいると。プラハの空港にはシュヴァンクマイエルが持ち込もうとして押収された様々な動物の剥製(豚など、神を冒涜するための物)が沢山保存されている部屋があり、別名シュヴァンクマイエル博物館と呼ばれているとか。脚色もあるかもしれませんが、実際に空港職員から聞いたお話だそうです。


知らない方からしたら、私がわざと気持ちの悪い場面ばかりを載せていると思われそうですが、違います。恐らく全編どこを切り取っても気持ちが悪い作品が多いです。いまいち刺激の足らない毎日をお過ごしの方がいらっしゃいましたら、シュヴァンクマイエル作品を大画面で、大音量で流してみてはいかがでしょうか。


最近買ったのは『サヴァイヴィングライフ~夢は第二の人生~』。前妻エヴァさんが亡くなられ新しい恋人が出来てからの作品なので、まさしく映画のタイトルに私生活が反映されている気がします。本編の作風にもまたその影響が投影されているように思えます。
「予算がないからこんな作品になってしまった」というのは彼なりのジョークだと思います。普通に撮った方がはるかに楽でコストも抑えられるはずなのに、コマ撮りなんかするから…。


変わり者のシュールレアリスト、シュヴァンクマイエルさんは現在、83歳。映画についてのインタビューをすると「そんなもんは作った覚えはない」とか「忘れました」とかインタビュアー泣かせな受け答えをされるそうです。新作『Insects』はどの国も出資したがらないにも関わらず、クラウドファンディングで5千万が集まったとか…。ただ、制作費は最低2億は必要なようで、5千万だと未だ25%。カフカの著書がモチーフらしいので、さぞ昆虫のリアルさが気持ちの悪い素晴らしい作品になることでしょう。楽しみです。出資は出来ませんがなんとか完成まで漕ぎ着けて欲しいと、1ファンとして遠く日本から願っております。

それではまた、土曜にお目もじかないますことを。
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プロフィール

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ギター屋、毒ガス屋、台灣屋、ロボット屋、他、沢山
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ギター屋 栗山
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を中心に、様々な自己中話を投稿していきます。
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・将棋屋 師匠(2017年8月20日まで)
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